平田守「My IKEA」
- silverhouse25
- 5月30日
- 読了時間: 2分
Gallery 10[TOH]
渋谷区千駄ケ谷5-20-11 第一シルバービル1F
2025年5月31日- 6月15日
14:00-20:00
(月火木休廊)

本展《My IKEA》は、グローバル企業IKEAの店舗空間における視覚的・制度的特性を、絵画とドローイングによって再構築する試みである。立川、新宿、港北、渋谷、京都の各店舗で採集したモチーフ群──花器、馬型スポンジ、照明器具、写真フレームなど──をもとに制作された作品は、私的空間と公共空間の境界が曖昧化する現代において、その交錯を可視化・批評する。
制作の出発点となったのは、コロナ禍を経て変容した「自宅」や「アトリエ」といった私的空間のあり方である。パンデミック下で拡張された内面との対話や生活の秩序感は、絵画という形式においても新たな再解釈を促した。本シリーズは、IKEAの店舗がもつ匿名的かつ規格化された演出空間を「与えられた静物」として受動的に捉えることで、画家の能動性を相対化し、描くという行為の制度的側面に光を当てる。
また、IKEAにおける共通のモチーフ群は、設置環境に応じて視覚的意味が変容し、描かれるたびに新たな文脈を孕む。それは静物画というジャンルを拡張し、風景画や人物画との境界すら流動化させる。IKEAという制度のなかで描かれるものは、すべて「静物画的視座」を帯びる──この仮説的視点のもと、本展は空間と時間、現実と虚構、秩序と偶然が交差する視覚体験の可能性を提示する。 平田守